研究課題/領域番号 |
25800114
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
小麥 真也 工学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90548934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 分野横断 |
研究実績の概要 |
星形成およびその周辺環境である星間空間の様々な物理変数の間に成立する平衡状態を記述する方程式系(多変数星形成則)を構築する事が本研究の目的である。これまでにM33銀河における多変数星形成則を5変数2方程式系で表現する事に成功している。今年度は同成果を他の銀河、南天のNGC300において検証する事を行った。 平成26年度は、25年度においてNGC300に対し取得した豪MOPRA望遠鏡のデータ解析を行い、学会発表を行った(国立天文台野辺山ユーザーズミーティング、日本天文学会2014年秋季年会、東アジアアルマワークショップ)。しかし望遠鏡の不具合によりデータの取得実績は良くなく、MOPRA観測のみで成果とするには困難を伴うため、他グループが主導した南米APEX望遠鏡で取得された同銀河のデータを併用する事になった。ただしAPEXのデータのみでは銀河の希薄なガスしか定量する事はできないため、ASTE望遠鏡による高密度ガス観測を提案し、採択された。ASTEによる観測は完了し、またデータの解析は順調であるため本年度中にはNGC300に関し、多変数星形成則のうち1つを検証できる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
銀河における多変数星形成則の構築には初期成果であったM33での結果を他の銀河で検証する事が必須である。南天の銀河NGC300はその目的には最適の天体であるが、豪州MOPRA望遠鏡で行った観測のデータ解析が観測装置不具合のために予定より遅れたのが大きな原因である。ただし、海外の他グループが別目的で同天体の観測を行ったので、その観測データと本グループで新規に取得したASTE望遠鏡のデータを併用することで十分に成果を得ることができると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
ASTE望遠鏡にて新規に取得した高密度ガスのデータの解析を進め、APEX望遠鏡で取得かつ公開されたデータと合わせる事でM33で発見された多変数星形成則2系統のうち1つを検証する事が可能である。この成果を出版・発表することが最優先である。もう一方の系統については星間塵(ダスト)の観測が必須であるが、ダストの直接観測は難しく、これまでの観測から検出が容易であるとは言えない。引き続きALMA望遠鏡などに観測提案を行っていくが、もしその提案が採択されない場合、平成25年度に南米miniTAO望遠鏡にて取得したパッシェンα輝線データとアーカイブ化されたHα輝線データを組み合わせ、星間塵を間接的に定量する事が現実的な方策と言える。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の出版が遅延した事および、それにともなった海外などでの研究発表が発生しなかったことが大きい。データ解析のための新規計算機導入を行わなかった事も影響した。
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次年度使用額の使用計画 |
ASTE望遠鏡で新規に取得したデータ解析のために計算機の購入が必要であり、その為の支出(40万程度)が予定される。また、論文出版費、海外での成果報告を予定しているため、全体としては均衡のとれた支出となる予定である。
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