宇宙の最初にはリチウムより重い元素(金属)は存在せず、星や超新星などの天体現象で形成されてきた。金属量の少ない星は、初期宇宙で生まれた星の生き残りと考えられる。銀河形成を考慮した初期宇宙での元素組成の進化計算により、金属欠乏星の形成史を探った。 観測的に、r過程元素と呼ばれる特に重い元素では、星ごとに多様な組成が見られる。この組成分布が銀河の階層的形成の影響として説明できることを示した。 また、金属欠乏星の中でも最も金属量が低い、金属量が太陽の十万分の一以下の星たちが、実は全く金属を持たずに生まれた初代星の生き残りであり、形成後に星間物質の降着により表面組成が変化した星と考えられることを示した。
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