研究課題
宇宙には円盤銀河が数多く存在するが、その形成メカニズムは未解明の重要な問題である。大規模構造形成の標準モデルでは、銀河衝突や合体の繰り返しにより円盤は成長していくとされるが、このプロセスは観測的には証明されていない。本課題では、非常に高い感度と分解能を備えたALMA望遠鏡の特徴を生かし、銀河衝突末期段階での分子ガスの特性を調べ、銀河衝突による円盤の形成過程に迫る。近傍ではあるがサンプルに偏りのない方法で衝突末期の銀河を世界ではじめて大規模にサーベイするという点に特徴があり、天の川銀河のような円盤銀河の形成の本質に迫るという点で極めて大きな意義がある。平成25年度にデータの取得及び解析を行い、平成26年度にこれらの結果をまとめた論文の執筆を行った。当初の目的通り観測と解析が進み、観測した37天体のうち約半分においては回転する分子ガス円盤を発見した。これは、銀河衝突によって円盤銀河が形成される可能性があることを示唆しており、最新の理論シミュレーションの結果ともよく一致していることが確認された。この新しい観測結果により、銀河衝突と銀河形態の関係に対する我々の理解が大きく前進した。研究結果は、Astrophysical Journalに論文として出版された。また、世界同時プレスリリースとして世界に発信され、多くの海外メディアに取りあげられた。今後は、より遠方の宇宙に存在する銀河に対して同様の観測を行い、初期宇宙における銀河進化に迫る予定である。
(1)は研究成果と今回データをまとめたウェブページ。出版したデータを広く研究者に使ってもらうために、ウェブページ上で公開することにした。(2)は本成果の日本語版プレスリリース。(3)は本成果の英語版プレスリリース。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
The Astrophysical Journal Supplement
巻: 214 ページ: 1, 29
10.1088/0067-0049/214/1/1
http://alma-intweb.mtk.nao.ac.jp/~jueda/data/mr/index.html
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201409177435.html
http://www.almaobservatory.org/en/press-room/press-releases/751-violent-origins-of-pancake-galaxies-probed-by-alma