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2014 年度 実施状況報告書

分散分光器とカロリメータを用いた超新星残骸のX線精密分光学の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 25800119
研究機関独立行政法人宇宙航空研究開発機構

研究代表者

勝田 哲  独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50611034)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード超新星残骸 / X線観測 / XMM-Newton / 分散分光器
研究実績の概要

Ia型の若い超新星残骸(SNR), Kepler’s SNR, Tycho’s SNR, SNR 0509-67.5のX線データ解析を推進した。2 keV 以下の低エネルギー側ではXMM-Newton による分散分光データを、それ以上の高エネルギー側では「すざく」XISデータを利用することで、最高品質のX線データを抽出・解析した。その結果、中間質量元素(Si, S, Ar, Ca)に対する鉄族元素(Fe, Ni)の質量比が、Kepler’s SNR, SNR 0509-67.5 では同程度であり、Tycho’s SNRより数倍大きいことを発見、両グループで56Niの生成量が大きく異なるという示唆を得た。実際、SNR 0509-67.5とTycho’s SNRについては爆発時の可視光エコーが検出されており、その分光解析から、56Ni生成量がそれぞれ多量、普通であったことが確定しているため、本研究の視点(中間質量元素と鉄族元素の質量比)は、Ia SNRの爆発のサブタイプを特定する新しい手法になりそうである。これまで、Ia型と重力崩壊型の判別はしばしば行われてきたが、Ia SNRのサブタイプにまで踏み込んだ研究は皆無であり、新規性が高い。
この他、白鳥座ループ超新星残骸の南西端における明るいノット構造や、RCW89 についても、XMM-Newtonの分散分光データの解析を進めた。前者については、ヘリウム様酸素のKα禁制線が共鳴線の2倍ほど強いことを発見し、その解釈を検討している。後者については、輝線のドップラーシフトからSNRの立体構造を探った。いずれも論文を準備すると共に、国内外の研究会等で進捗を発表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り、Kepler’s SNR、及び白鳥座ループSNRのRGS解析をほぼ完結する段階まで研究を進め、論文の執筆を進めている。その傍らで、国際会議での発表2件、国内研究会での発表1件、国内のセミナー2件をこなした。また、日本語による解析・総説記事を2件執筆した。

今後の研究の推進方策

これまでの二年間で、データ解析を順調に進めてきた。本年度では、その結果を複数の論文として出版することが最大の目標である。
当初予定していたマイクロカロリメータによるX線精密分光データの解析は、X線天文衛星「ASTRO-H」の打ち上げの遅延のため、当該期間には行えそうにない。しかし、質的にほぼ同等のXMM-Newton搭載の分散分光器データを複数持っているので、今年度はより一層この解析に注力し、「ASTRO-H」の打ち上げに備える。

次年度使用額が生じた理由

本年度に予定していた国際会議の出席を控えたことと、論文の出版が遅れているため。

次年度使用額の使用計画

本年度は、国際会議に計画よりも多く参加するとともに、論文の執筆を急ぐ。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 銀河系内超新星残骸のX線精密分光観測2015

    • 著者名/発表者名
      勝田 哲、常深 博、森 浩二、内田 裕之
    • 雑誌名

      天文月報

      巻: 108 ページ: 113-121

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] High-Resolution X-Ray Spectroscopy of Galactic Supernova Remnants2014

    • 著者名/発表者名
      Satoru Katsuda, Hiroshi Tsunemi
    • 雑誌名

      Acta Polytechnica CTU Proceedings

      巻: 1 ページ: 200-204

    • DOI

      10.14311/APP.2014.01.0200

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 超新星残骸のX線精密分光観測 XMM-Newtonによる先駆けとASTRO-Hへの展望2014

    • 著者名/発表者名
      勝田 哲
    • 雑誌名

      ISAS news

      巻: 403 ページ: 1-3

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 超新星残骸のX線精密分光観測〜XMM-Newton/Chandraによる先駆けとASTRO-Hへの展望〜2015

    • 著者名/発表者名
      勝田 哲
    • 学会等名
      立教大学セミナー
    • 発表場所
      東京都池袋(立教大学)
    • 年月日
      2015-01-22 – 2015-01-22
  • [学会発表] High-Resolution Imaging and Spectroscopy of Supernova Remnants2014

    • 著者名/発表者名
      Satoru Katsuda
    • 学会等名
      The Many Facets of Supernova Remnants: Cosmic Particle Accelerator and Environmental Impact
    • 発表場所
      東京都池袋(立教大学)
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-10
    • 招待講演
  • [学会発表] はくちょう座ループ南西部におけるヘリウム様酸素からの強い禁制線の 発見2014

    • 著者名/発表者名
      内田 裕之、勝田 哲、常深 博、他
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      山形大学
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-11
  • [学会発表] Enhancement of the Forbidden Line in the Southwestern Knot of the Cygnus Loop2014

    • 著者名/発表者名
      Uchida Hiroyuki, Satoru Katsuda, Hiroshi Tsunemi, et al.
    • 学会等名
      40th COSPAR Scientific Assembly
    • 発表場所
      Moscow
    • 年月日
      2014-08-06 – 2014-08-06
  • [学会発表] High-Resolution X-Ray Spectroscopy of Supernova Remnants2014

    • 著者名/発表者名
      Satoru Katsuda
    • 学会等名
      ISAS Astrophysics Colloquia
    • 発表場所
      神奈川県相模原市(宇宙科学研究所)
    • 年月日
      2014-05-29 – 2014-05-29

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公開日: 2016-06-01  

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