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多くの核子を含んだ系を非経験的に記述する理論の確立、応用が本研究計画の2本柱である。今まで数体系に限られていた核力からの精密計算の適用範囲を拡張し、未知の不安定核や実験困難な宇宙核物理領域に必要な物理量に対して信頼のおける評価を行うことが目標である。
最終年度は相互作用の変換に関する研究を進め、関連の論文を1編発表した。ユニタリ変換による有効相互作用は、核力の持つ高運動量成分の繰り込みを可能とし、多体計算を実行する上で有用である。しかし同時に多体の演算子を誘起してしまい、使いやすい低運動量有効相互作用ほどそれら多体項の寄与が大きくなる。本論文では精密な多体波動関数を用い、そのような多体相関の運動量分布への影響を議論した。原子核内の核子対運動量は多体相関の情報を全て含み、誘起された多体項の効果が無視できないが、2核子対の全運動量が0の場合の相対運動量分布はほぼ2核子相関にのみに依り、それは有効相互作用の変換パラメータに依存しないことを示した。主な成果発表として5月にアメリカ合衆国シカゴにて行われた少数体物理国際会議における口頭発表、7月に香港にて行われた陽子中性子相関についての国際会合にて招待講演を行った。また原子核の応答関数を記述する新しい手法の開発を行い、数核子系の光吸収断面積を記述することに成功した。それらの成果は国内外学会にて発表が行われ、現在論文にまとめているところである。
3年間で研究は大きく進展し、それらの成果発表は14編の原著論文、13件の国内外学会における招待講演によってなされた。特に精密波動関数を用いた原子核構造、反応研究に大きな進展があり、原子核の殻的・分子的状態の統一的記述や実験の困難なニュートリノ反応等を非経験的に記述することに成功した。新たな課題も見つかり、これらの成果を基としてさらなる研究の発展が期待される。
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