M理論の3代数模型における時空を同定するためには、他の3代数模型との比較を行うことによって、時空としてふさわしい共通の構造を見つけることが有用である。そこで、他にも超対称3代数模型が構成できるのかどうか調べた。結果、IIB行列模型、BFSS行列理論を3代数模型に拡張することに成功した。また、IIB行列模型を4代数模型に拡張した。この模型はIIB行列模型由来の10次元と、Lie代数を4代数に拡張したことによる2次元を表す12個のボゾン的行列を変数に持ち、超対称性はIIB超弦理論と同じなのでF理論を記述すると期待される。
また、M理論の3代数模型から4次元時空を導出するためには、3代数の構造をよく理解する必要がある。3代数の拡張である、Hermitian -Freudenthal-Kantor triple system(HFKTS)の数学的構造について調べた。結果、HFKTSのtripotent basis での展開や、Peirce分解に関する基本的な構造定理を得た。また、M理論の3代数模型のu(N)+u(M)エルミート3代数を*-generalized Jordan triple system(GJTS)に拡張することに成功した。この GJTSを場の理論に適用すると、チャーンサイモンゲージ理論になる。この理論にある極限をとると、novel Higgs mechanismが働いて、ヤンミルズ理論に帰着することを示した。
M理論の3代数模型の一体状態の古典極限がsupermembrane作用に帰着することを証明するのに南部ブラケットの正則化が必要である。正則化の基礎として、南部ブラケットで生成されるvolume preserving diffeomorphismの独立基底を分類し、area preserving diffeomorphism を3つ含むことを示した。
|