地球に到来する宇宙線の最高エネルギー(100EeV=100エクサ電子ボルト)は人類が粒子加速器で生成できる陽子の約1000万倍に達し、その起源は現代物理学の謎の一つである。本研究では、テレスコープアレイ実験が観測する約1EeV以上の宇宙線データを用いて、宇宙線が過剰に多い/少ない方向(宇宙線の異方性)を探索した。その結果、1EeV領域では有意な宇宙線の異方性は観測できなかったが、解析条件の緩和及び最適化により、北天領域の観測においてはこれまでで最も高い感度で探索した。また、57EeV以上では、おおぐま座銀河団の近くに最高エネルギー宇宙線が過剰に到来するホットスポットの兆候を捉えた。
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