ポジトロニウムは電子と陽電子が束縛された系であり、ハドロンの不定性を受けずに束縛系量子電磁力学(QED)によって記述される。ポジトロニウム超微細構造(Ps-HFS)は電子と陽電子のスピン・スピン相互作用によって生じる基本的な物理量であり、この精密測定は束縛系QEDの検証において重要である。現在、Ps-HFSの実験値と理論値との間に4σ程度の有意なずれが存在しているが、過去の実験は全て静磁場を用いた間接的な測定であった。本研究では大強度ミリ波によってPs-HFSを世界で初めて直接分光測定した。この結果はProg.Theor.Exp.Phys.2015, 011C01 (2015)に掲載された。
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