最終年度は、F(G)重力理論及びF(T)重力理論における宇宙論、宇宙のバリオン数生成やホログラフィック暗黒エネルギーに関する研究を行った。主な研究内容は次の三項目にまとめられる。 1 F(T)重力理論(Tは捩れ率)において、インフレーション宇宙を詳しく解析した。2 F(G)重力理論(Gはガウス=ボンネ不変量)において、エネルギー条件に関する宇宙論的考察を行った。3 拡張重力理論における宇宙のバリオン数生成の研究に関連して、インフレーションに引き続いて起こる再加熱過程でのバリオン数の新たな生成機講を提案した。加えて、ホログラフィック暗黒エネルギーに関する熱力学的考察とブランス=ディキー理論での性質の解明を行った。 また、本補助事業期間全体の成果は次の三点に集約される。 (1) インフレーションと現在の宇宙の加速膨張を統一的に説明することを目的として、F(R)重力理論に加え、F(T)重力理論、bi-metric 重力理論、スカラー曲率Rと物質のエネルギー・運動量テンソルTによって作用が記述されるF(R、T)重力理論、重力の2次の量子補正項であるガウス=ボンネ不変量で作用が記述されるF(G)重力理論において、宇宙の加速膨張機講、宇宙論的摂動論、熱力学法則、重力収縮及びコンパクト天体等の考察を行った。これらの様々な重力理論における宇宙論の研究は、一般相対性理論における宇宙論の研究と相補的な関係にあり、重要な意義を持つと考えられる。 (2) F(R)重力理論の一つと考えられるスカラー曲率の自乗項を含んだ複数スカラー場の理論、並びに流体モデルにおける宇宙論を考察した。 (3) 宇宙の初期特異点を回避するバウンスシナリオ、カルーザ=クライン理論でのニュートリノと暗黒物質の関連性、インフレーション後の再加熱過程における宇宙のバリオン数生成、ホログラフィック暗黒エネルギーに関する研究を行った。
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