宇宙線エマルションチェンバーのノンバイアス・大統計解析のための技術開発を進めた。過去に行われた気球チェンバー(RUNJOB、JACEEなど)へ適用するため、昨年度確立したグリセリン膨潤処理を進めた。最新の読み取り装置HTSによる飛跡読み取りによる乳剤層中のデータ解析により、乳剤層のオリジナルの厚さと膨潤後の厚さの比較からオリジナルの厚さ(塗布時の厚さむら)と膨潤率との間に相関がある事を明らかにした。このことから、フィルムの位置により乳剤層の伸び率が異なる事が明らかとなった。このような事から、フィルム内の位置によりデータのばらつきが生じるため、その対策として乳剤層の厚さに合わせて読み取る厚さを変化させるなどの対策を行った。また、最新の原子核乳剤を用いて地上での宇宙線測定を行い、過去の気球チェンバーのフィルムと同様に塗布時の厚さむらと伸び率に相関が見られたが、それらに対しても同様の処理を行った。この宇宙線観測では、ミューオンフラックスの測定を行った。これらの再解析フィルム、及び最新の原子核乾板を製造して行った実験を通して、原子核乾板処理の技術開発と共に得られたデータの解析手法の開発を行い、現在進めている解析に適用している。
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