本研究の目的は、格子QCD数値計算の主要な系統誤差である有限体積効果を精度よくコントロールすることである。私たちは、π中間子のゼロ運動量モードをコントロールし、1%程度の精度でパイ中間子の形状因子を抽出するには、4fm 程度の格子による数値計算があれば可能であることを示した。さらにこの成果を数値計算に応用、誤差の範囲で実験値との一致が確認された。また、Dirac 演算子の固有値分布のうち、あらかじめ有限体積効果が小さいとわかっている領域を逆算してもとめ、そこの分布とBanks-Casher関係式を比較することにより、中心値の1.8%の精度でカイラル凝縮を精密計算することに成功した。
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