相対論的重イオン衝突実験は物質の未知なる状態であるクォークグルオンプラズマを地上で生成する重要な実験的手段である。本研究では、この実験で生成される高温物質の初期状態を探る有用な観測量として近年注目を集める、保存電荷の非ガウスゆらぎに関する研究に関して多角的な研究を行った。具体的には、実験的に測定可能な保存電荷のラピディティ幅依存性を用いてゆらぎの性質を実験的に理解する方法を提案したほか、実験的観測における有限体積効果や誤検出・検出効率の問題を論じるなど、様々な研究成果を挙げることができた。これらの研究成果は、本研究期間中に国際会議の招待講演を10回以上引き受けるなど、世界的に注目された。
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