研究課題/領域番号 |
25800163
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
花田 政範 京都大学, 白眉センター(基礎物理学研究所), 准教授 (40626735)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 量子重力 / ブラックホール / 超弦理論 / 場の理論 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、Banks-Fischler-Shenker-Sussking(BFSS)行列模型が超弦理論、M理論を記述するかどうかを調べるための数値シミュレーションを行った。また、さらに大規模な数値計算を行って11次元シュバルツシルトブラックホールやM5ブレーンを行列模型を用いて記述するために、新しい並列シミュレーションアルゴリズムを開発し、京スーパーコンピューターで使用するための並列コードを作成した。このコードは一般に公開する予定である。
また、クオークグルーオンプラズマの熱化やブラックホールの生成、蒸発に関する知見を得るため、BFSS行列模型や超対称ゲージ理論の実時間での振る舞いを考察した。BFSS行列模型に対しては古典的な実時間シミュレーションを行い、弱結合領域でも強結合領域で期待されるブラックホール的な振る舞いが見られること、特に関野、Susskindによって提唱されたfast scramblingと呼ばれる性質があることを示した。
このほか、ブラックホールとブラックストリングの間の相転移と量子色力学の相転移の類似性についても考察し、論文にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度の段階で、BFSS行列模型が量子重力効果を含むことを示唆する結果が得られていた。今年度はさらに詳細なシミュレーションを行うための準備を着実に進めたほか、全く別の手法で実時間の性質を調べ、fast scramblingを初めて定量的に示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度からは、BFSS行列模型を京スーパーコンピューターを用いて詳細に調べる。また、BFSS行列模型の京でのシミュレーションが軌道に乗った段階で、二次元以上の超対称ゲージ理論のシミュレーションの準備にも着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
スタンフォード大学のサスキンド教授、シェンカー教授との共同研究で4/1をまたぐ出張をしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
スタンフォード大学のサスキンド教授、シェンカー教授との共同研究のための旅費として使用する。
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