負ミュオニウムイオンの生成・加速実験を実行するための準備を行った。実験装置の構築にあたり、測定の精度をより高度にするため、英国ラザフォード・アップルトン研究所において使用されていたミュー粒子再加速ビームラインの機器を、同研究所に支所を持つ理化学研究所の協力を得て、借用し、本研究の目的に合わせて改良、検出器等の追加を行った。負ミュオニウムイオン測定のために浜松ホトニクス社製のMCP(Micro Channel Plate)を基盤とした検出器システムを開発し、信号ゲイン、電気ノイズ量、時間分解能等の基礎となる性能評価を行い、本研究に要求される性能を満たしていることを確認した。また、負ミュオニウムイオン生成標的から直接飛来する陽電子等の測定における背景事象となるイベントを除去するために、シンチレーターと浜松ホトニクス社製のMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)を使用した検出器の開発を行った。これらの装置を組み合わせて、J-PARCにおいて実験を行った場合の負ミュオニウムの収量をシミュレーションを用いて評価し、実験装置全体としての最適化を行った。それに基づき、真空チェンバーの設計・制作を行い、実験エリアへの設置を行った。2015年度内にJ-PARC MLFのミュオンビームラインにおいて、負ミュオニウム生成実験を行う予定であったが、J-PARCのビーム運転状況により、計画してたビームタイムは5月以降に変更となっている。現在、ビームタイムに向けて、実験装置の調整を継続して進めている。
|