研究課題
本研究では半導体量子ドット等を利用した新しい局所プローブを用いて半導体微細材料中の局所電子、スピン状態およびその物理現象を調べた。本年度は特に量子ドットプローブの高速化を進め、高速動作の評価、検出動作の頑健性の確認、量子ドット内状態の高速精密測定等を行った。半導体微細材料を用いたデバイスの高速化、高効率化のためには、局所電子、スピン状態の静的な性質だけでなく、その動的な性質を含めて物理現象を理解することが重要である。このためのプローブとして、半導体量子ドット等を用いた局所プローブと高周波を用いた高速電気測定技術を組み合わせて、高速局所電子状態プローブを実現し、発展させた。このプローブの動作時間の評価を行い、プローブ量子ドット内の電子数を5マイクロ秒で99%以上のフィデリティで測定できることを確認した。またこの高速測定を用いてプローブ量子ドットへの電子のトンネルを実時間で測定し、数十マイクロ秒の高速イベントを実時間で観測できることを実証した。またこのプローブを用いて別の半導体量子ドット内の局所電子状態の測定を行った。局所電子、スピン状態測定の動作原理は、局所電子状態変化によるプローブ量子ドットへの電子のトンネルレートの変化であるが、これをトンネル現象の実時間測定により確認した。そしてターゲット量子ドット内の局所電子状態を精密に評価し、各種励起状態を観測した。さらにプローブ動作のバイアス電圧依存性、温度依存性を調べ、検出動作への影響が小さいことを示し、動作の頑健性を実証した。これらの結果は新しい局所プローブの確立、またこれを用いた局所電子状態観測を実証しており、今後の半導体微細材料での物理、またこれを用いたデバイスの発展に寄与できる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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