研究概要 |
本研究は、スピン軌道相互作用と空間反転対称性の破れがトリガーとなり発現するRashba効果やトポロジカル絶縁体のスピン偏極ディラック電子系において、これまでほとんど観測されてこなかった3回対称性以外の表面結晶構造の対称性をもった異方的な電子スピン構造を実験的に解明するべく、我々が開発した高効率スピン角度分解光電子分光装置を用いて、タングステン単結晶を起点に研究を行うものである。 平成25年度は、高効率スピン角度分解光電子分光装置専用の高温アニールシステムの設計・導入とこれまで研究してきたW(110)面以外のタングステン表面(100), (111), (771), (670)の清浄表面を得るための条件を探求し、最適の条件を見いだした。さらに、高温アニール装置導入後に、これまでの研究で我々が発見したW(110)の異方的スピン偏極ディラック電子の電子スピン構造の完全決定を高効率スピン角度分解光電子分光装置で行った。この電子スピン構造は、当初、我々が予想した擬1次元的な電子スピン構造モデルとよく対応しており、これまで報告されてこなかった特殊な電子スピン構造のためスピン緩和長が大きく増大する事が期待される。
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