本研究課題は共振器ポラリトンは励起子と共振器の強結合によって生成される準粒子(ボーズ粒子)であり、近年、反転分布なしのレーザーシステムの構築や光スイッチング応用のデバイスとして注目されている。そこで本研究の目的は、非平衡グリーン関数の方法を用いて、ポラリトン凝縮体生成過程を含めたフォトルミネッセンスの時間変化のダイナミクスを取り扱うことの出来るモデルを確立することである。しかし、微小共振器の寿命やレーザー照射下のサンプルの局所的温度など実験から未だに決められていないパラメータも多い。また、入射レーザー、電子、正孔、共振器、励起子、共振器ポラリトン、フォノンと異なる時間スケールのダイナミクスが関与していることから、モデルを無数に構築することが可能である。そのため、実験結果を反映した現象論的モデルを構築することを目的としていた。 反転分布なしのレーザーシステムの兆候が表れる結果を現、横浜国立大学の堀切准教授らとの共同研究によって得た。これらの結果については、理論的な考察を加えた上で、今後、出版していく予定である。また、量子ダイナミクスに関してはフォノンの関与の重要性からイオントラップを用いた原子物理の系のフォノンダイナミクスを詳細に調べた。その結果、大阪大学の占部教授のグループと共同し、トンネル効果中においてもアハロノフ・ボーム効果が起きるということを実証した。
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