本研究では、電荷移動が表面超構造に与える影響を解明するために、反射高速陽電子回折を用いて、高濃度ボロンドープSi(111)表面にCsとSnが吸着した新奇表面超構造の原子配置と電荷移動量を調べた。ロッキング曲線の測定と解析から、以下の3点が明らかになった。(1)Cs吸着の場合、Cs原子は単一の高さに吸着し、大きな電荷移動を伴う。(2)Sn吸着の場合、Sn原子は少なくとも2つの異なった高さに吸着し、Cs吸着の場合に比べ、電荷移動量は少ない。(3)基板のB原子の濃度減少に伴い、表面構造が徐々に変化する。以上の結果から、表面超構造は吸着原子と基板間の電荷移動により大きな影響を受けることがわかった。
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