研究課題/領域番号 |
25800194
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青山 和司 京都大学, 白眉センター, 助教 (00623133)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スピン・軌道相互作用 / 空間反転対称性の破れた超伝導体 / 双晶境界 / 臨界磁場 / 超流動ヘリウム3 / ストライプ秩序 |
研究概要 |
平成25年度の研究目的は、互いに逆符号のスピン・軌道相互作用を有する2種類の超伝導体が接する系において、接合面に平行に印加された外部磁場が超伝導状態に及ぼす影響を明らかにすることであった。上記の特徴を有するシステムとして、c軸方向の空間反転対称性が破れたRashbaタイプ超伝導体の双晶系、特にc軸方向に積層した双晶に着目して、双晶界面における外部磁場に対する超伝導の安定性を解析した。Ginzburg-Landau 理論に基づいて、上部・下部臨界磁場の評価を行った結果、積層順序の異なる2種類の双晶境界で、臨界磁場が一方ではバルクの値よりも増大し、もう一方では抑制されることが分かった。この積層順序による臨界磁場の違いは、スピン偏極がスピン・軌道相互作用を通じて超伝導電流を誘起する磁気電気効果によって、一方の双晶境界では外部磁場を打ち消すように、もう一方では増強するように内部磁場が発生することに起因する。本結果は、単結晶試料中に格子欠陥として結晶ドメインを有するようなRashbaタイプ超伝導体では、双晶界面という微小な超伝導領域を敏感に感知するプローブから得られる臨界磁場が、バルク測定から見積もられる上部 (下部)臨界磁場よりも高(低)磁場側にあることを示唆している。本内容は、Phys. Rev. B誌に論文掲載される予定である。 また、関連した話題として、細い円筒容器中の液体ヘリウム3の超流動相を調べ、容器壁面の準粒子散乱と超流動ヘリウム3に特有のCooper対の内部自由度によって、円筒軸方向の並進対称性を自発的に破るストライプ構造が現れることを明らかにした。この系は磁場下のRashbaタイプ超伝導体とのアナロジーがあり、ストライプ秩序の発現にはスピン自由度と軌道自由度の結び付きが本質的な役割を果たしている。本結果は、Phys. Rev. B誌にRapid Communicationとして論文掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
スピン・軌道相互作用と外部磁場の協力現象によって非一様系で直感的に期待される超伝導の安定性の変化を納得のいく精度で示すことができ、また、得られた知見をもとに、超流動ヘリウム3の分野でも重要な理論提案を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、解析計算に基づいて非一様系における超伝導・超流動相の安定性を議論した。来年度以降は、空間反転対称性の破れた超伝導体及び制限空間内の超流体を対象に、Eilenberger方程式、Bogoliubov-de Gennes方程式を用いた数値解析を行い、システム表面やドメイン境界における準粒子状態を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度中に次年度以降に行う数値解析に向けた準備を行う目的で計算機を購入する予定であったが、年度内に間に合わず次年度に持ちこしとなったため。 当初の予定通り計算機を購入し、次年度以降に計画されている数値解析に基づいた理論研究を行う。
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