本研究で着目した物質は、簡単な化学組成を有する絶縁体で、トポロジカル絶縁体の候補物質やドーピングによって非従来型の超伝導が発現する可能性を有するものである。他の様々な系に加えて、ドープされたトポロジカル絶縁体Bi2Se3 や SnTeにおける超伝導を調べ、さらに超伝導の他にも異なる興味深い特性を見出した。ドープしたWSe2では、800 Kにおいて0.35 という比較的大きな熱電性能指数を実現し、また、ドーピングによってバンド構造の変化を見出した。極性を有する(Ge,Mn)Te系においては、過去には報告されていなかった強磁性相も発見し、磁気的相変化メモリ機能の実証に成功した。
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