研究実績の概要 |
物質の低エネルギー現象を非経験的に理解するために, 第一原理多体摂動論に基づく計算手法の開発および具体系への応用研究を進めた。遷移金属酸化物や有機化合物のプラズマロン状態 (準粒子とプラズモンが結合した状態) に着目し, 実験 (光学測定・角度分解/角度積分光電子分光) との比較を通した定量的検証を行った。これまで「強相関電子系」として括られ, 単に「局所電子間反発の物理」だけの観点から議論されてきた物質群は, 実際には, 低エネルギープラズモン状態形成の影響を大きく受けていることが分かった。こうした状態形成は系の次元性やキャリア密度に敏感で, 擬一次元・二次元系や低密度キャリア系などの電子構造において特に影響が大きいこともわかった。本課題では, 代表的な擬一次元系である有機化合物 (TMTSF)2PF6, 遷移金属酸化物K0.3MoO3, 低密度キャリア系 SrVO3 のスペクトル関数を計算し, これらの異常金属としての性質を非経験的に検証した。
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