本研究は「固体ヘリウム4に発現する低温物性異常が転位運動のみで理解できるか」の問題提起のもと,以下の手法で実施された。(1)転位運動による固体弾性変化がねじれ振子の共鳴周波数変化に与える影響の有限要素法を用いた定量的評価。(2)定常回転下における剪断・体積弾性率の直接測定。結果,(1)により固体弾性変化がねじれ振子の周波数変化を定量的に説明することが明らかになった。しかし,(2)より回転下の弾性率にねじれ振子実験で観測された回転数依存性を持つ固体ヘリウム4物性量の“量子化”は観測されなかった。本研究により,転位運動は固体ヘリウム物性異常のすべてを説明しないことが明らかになった。
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