重い電子系化合物URu2Si2は17.5 Kで2次相転移を示すが、過去約30年にわたる研究にも関わらずその秩序変数は定まっておらず、17.5 K以下の相は隠れた秩序相と呼ばれている。本研究課題では、隠れた秩序相、及び1.4 K以下で発現する超伝導相の磁気的性質や時間反転対称の破れの有無を調べるために、ミュオンスピン緩和法の実験を実施した。その結果、隠れた秩序相において非常に微弱(~0.1 Oe)ではあるが静的な内場が発達すること、またその内場が超伝導相でさらに増大することを明らかにした。これらは、この系の隠れた秩序相や超伝導相を理解するうえで重要な基礎情報となると考えている。
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