研究課題/領域番号 |
25800216
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
益子 岳史 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70415917)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自己駆動体 / 集団現象 / 変形性 / 非格子系 / 鎖状移動体モデル |
研究概要 |
これまでの研究代表者の研究で、非格子空間における自己駆動体の多体系は、各個体が変形性を有する場合に特異な集団現象を示すことを見出してきたが、それが真に変形性に由来するものなのか、それとも空間格子の存在や限られた変形性などの制約によるものかは不明であった。それを解明するため、本年度はまず、鎖状移動体モデルを格子空間から非格子空間に拡張した。変形の大きさのパラメーターである柔軟度を導入し、これをパラメーターとした数値シミュレーションを実施するための計算プログラムを作成した。 作成したプログラムにより、まず最も単純な2次元非輸送系でのシミュレーションを開始した。移動体の軌跡などが柔軟度によりどのように変化するかを調べ、現在結果をまとめている。今後シミュレーションを継続して実施し、個体の柔軟度が集団現象に与える影響を系統的に調査していく。 さらに、翌年度実施予定であった輸送系のシミュレーションの比較対象として、格子空間での輸送シミュレーションを実施した。駆動力の方向と大きさが異なる2種類の移動体群の混合流について、同方向流の場合には直観的な現象が観察されるのに対し、逆方向流の場合には反直観的な現象が発生すること、またそれが個体の変形性に起因するものであることを見出した。本結果については現在論文にまとめ投稿しているところである。この現象は、翌年度の非格子系のシミュレーションにおいてさらに詳しい研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鎖状移動体モデルを非格子空間に拡張して計算プログラムを作成し、柔軟度および温度をパラメーターとしたシミュレーションを行う計画であった。このうち、温度をパラメーターとする計算には至らなかったが、翌年度に行うべき輸送系のシミュレーションを一部本年度に実施し、論文投稿するまでに結果をまとめた。これらから全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画どおり、輸送系のシミュレーションを実施する。ただし、前年度やり残した温度をパラメーターとする非輸送系の計算、および当初の計画にはなかった多体系研究の基礎研究としての鎖状移動体単体の計算(それほど時間を要せず、計画の進行に影響を与えない)も実施する。輸送系として具体的には、単純流、対向流、交差流、混合流、障害流などの系の計算を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた3台の専用計算機について、研究代表者用の計算機を大幅に安く購入できたこと、2名の研究協力者用の計算機購入費用および外国出張1回の旅費が他の予算で捻出できたことが主な理由である。 研究のより効率的な実施のための新たな計算機の購入、および学会参加のための出張旅費に充てる。
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