本研究課題では極低温イオン・原子混合気体を生成するための実験設備を構築し、ミリケルビンから数ケルビンの衝突エネルギーレンジにおいてイオン・中性原子間の散乱を観測することで、その散乱断面積の決定に成功した。さらに、弾性散乱レートおよび非弾性散乱ロスについて詳しく調べ、本研究で用いるイオン・原子混合系が共同冷却やイオン・原子間量子散乱の実現において有用であることが確認された。これらの成果は、イオン・原子間の共同冷却への応用のみならず、星間分子反応等に代表される極低温化学反応ダイナミクスの解明への足掛かりにもなると期待される。
|