研究課題
近年、新たな微細加工技術として、ブロック共重合体のミクロ相分離を利用した誘導自己組織化(DSA: Directed Self-Assembly)が注目されている。DSAの利点は、予め表面加工した基板上にブロック共重合体を塗布・熱処理するだけで、約10-50nmの周期パターンを作成できる点にあるが、その実用化に向けては、欠陥パターンをゼロにする必要がある。そこで本研究では、シミュレーションを用いて、ブロック共重合体と基板との界面で生じる欠陥パターンの原因を解明し、抑制方法について検討した。平成25年度には、Ohta-Kawasakiモデルをベースとした簡易化モデルの構築と検証を行った。モデルパラメータを実験データと合わせ込むことで、基板上で形成される複雑なモルフォロジを比較的短時間で精度よく予測できるようになった [J. Photopolym. Sci. Technol. (2013)]。平成26年度には、ホールシュリンクと呼ばれるDSAプロセスを対象にシミュレーションを行った。その結果、円柱状の穴(直径:約50-80nm)の中では、壁とジブロック共重合体との親和性が欠陥生成に大きな影響を及ぼすことや、バルクとは異なるモルフォロジが形成されることが明らかになった [J. Micro/Nanolith. (2014)]。また、欠陥パターンを抑制する方法として、穴の底面の中性化や、ブロック共重合体の組成比の最適化が有効であることが分かった [Jpn. J. Appl. Phys. (2015)]。更に、穴の中で形成されるシリンダードメインの位置ずれを調べたところ、楕円柱状の穴の内では、ドメインは長軸方向に動き易く、隣接するドメインと連動することも確認された。今後は、マルチブロックや混合系にも対応できるようにモデルを改良し、DSAの新規材料開発やプロセス最適化にも貢献したい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 54 ページ: 06FE01
http://dx.doi.org/10.7567/JJAP.54.06FE01
JOURNAL OF MICRO/NANOLITHOGRAPHY, MEMS, AND MOEMS
巻: 13 ページ: 031305
10.1117/1.JMM.13.3.031305
http://www.cheme.kyoto-u.ac.jp/6koza