外来物質が脂質膜に誘起する孔(ポア)の動的な構造は、その直径の小ささから不明な点が多い。一方、エピガロカテキンガレート(EGCg)は巨大な脂質膜ベシクル(GUV)の破裂を誘起し、その際、脂質膜に生じたポアの直径は数micro-mと巨大であった。そこでEGCgと脂質膜の相互作用を単一GUV法を用いて調べた。高時間分解能をもつ測定系により、まずEGCgによって脂質膜に小さなポアが誘起され、そのポアが時間とともに拡大、転じて収縮する過程が詳細に明らかになった。ポアの動的構造を解析したところ、EGCgの誘起したポアは脂質膜にはたらく力学を基にした古典的なモデルでよく説明しうることが判った。
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