研究課題/領域番号 |
25800249
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
望月 伸竜 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (60422549)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 古地磁気強度 / 放射性炭素 |
研究実績の概要 |
過去数万年間の古地磁気強度変動は、地球磁場の永年変化や地球表層への宇宙線入射量の変動を把握する上で必要な基礎データである。過去1.2万年間については、考古学試料による古地磁気強度データが多数存在するものの、データのちらばりが大きく、あきらかに古地磁気強度測定の精度をこえている。このことから、現存のデータには精度の低いデータや偏ったデータが含まれていると推察される。本研究では、炭素14年代が報告されている富士火山の溶岩に新測定法を適用することで、過去1万年間における信頼度の高い絶対古地磁気強度変動の復元を試みる。さらに、このデータに加えて、他の火山の1~3万年前の溶岩からも古地磁気強度(数データ)を復元して、過去3万年間における絶対古地磁気強度と大気の放射性炭素濃度の関係性を検討する。 平成26年度は、これまでに採取した富士火山・阿蘇火山の火山岩試料に対して、古地磁気強度測定・段階熱消磁・熱磁気分析を実施した。これらの測定は、実験補助員を雇用したことにより、効率的に進めることができた。これまでに75試料の古地磁気強度測定を完了した。その結果、8溶岩については数試料ずつ古地磁気強度データとして採用できる結果を得ている。これらの溶岩に報告されている炭素14年代値は、5千年前から2万5千年前であり、当初目標にしていた過去3万年間をカバーしつつある。本研究の主題である、絶対古地磁気強度と放射性炭素濃度の関係性も見えつつある。平成27年度以降は、データ数を増やすのが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
富士火山・阿蘇火山の8溶岩について数試料ずつ古地磁気強度の復元に成功しており、順調な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度にも、富士火山地域などにおいて引き続き試料採取を行う予定である。また、岩石磁気学的分析・古地磁気方位測定・古地磁気強度測定を引き続き行う。平成27年度中に得られたデータをまとめ、学会発表と論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、実験補助員の雇用に経費の大半を用いることになった。次年度の調査に備えて、残金を次年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の経費と合わせて、調査や学会発表のための旅費に主に使用する。
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