研究実績の概要 |
本研究は、炭素14年代が報告されている富士火山の溶岩流にLTD-DHTショー法(綱川‐ショー法)を適用することで、過去1.4万年間における信頼度の高い絶対古地磁気強度データの復元を試みる。さらに、これらのデータに加えて、他の火山の1~3万年前の溶岩からも古地磁気強度(数データ)を復元して、過去3万年間における絶対古地磁気強度と大気の放射性炭素濃度の関係性を検討する。平成27年度は、これまでに行った富士火山・阿蘇火山・東伊豆の火山岩試料の古地磁気強度測定結果を検討し、データの信頼性を総合的に検討した。測定した76試料のうち59試料についてはデータ採用基準を満たす測定結果が得られた。3試料以上の測定値が得られたのは11サイト(9溶岩)であった。測定値のまとまりが良い(標準偏差が平均の15%以下であった)7サイト(6溶岩)の測定値の平均を古地磁気強度データとして採用した(4サイトについては測定値のばらつきが大きく、信頼度が低い)。得られた古地磁気強度とこれらの溶岩の炭素14年代における大気の放射性炭素濃度の比較を行った。大気の放射性炭素濃度データとしてIntCal13(Reimer et al., 2013)を参照している。その結果、絶対古地磁気強度と放射性炭素濃度の間の定量的な関係性を捉えつつある。また、本研究で得られた絶対古地磁気強度と放射性炭素濃度の関係性と既存のモデル計算の結果を比較することで、過去3万年間における平均的な太陽活動度が現在よりも低いことも示唆される。
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