西南日本と南海トラフ周辺で,数Hz以上の地震波に対して散乱による見かけ減衰を考慮しS波減衰構造を推定した.別府島原地溝帯は他の火山地域とランダム速度不均質の深さ変化が異なるが,減衰構造に大きな違いは見られなかった.その結果に基づき,地溝帯下は島弧火山と同様の温度条件が予想されるが,火成岩形成に関連する貫入構造などが少ないという解釈を提案した.また沈み込むフィリピン海プレート上面付近のやや強い減衰域を明らかにした.南海トラフ全体では減衰と深部低周波微動発生域と一致する領域が幾つか存在し,ランダム不均質や減衰と微動のトリガー現象を定量的に関連づける枠組みを示した.
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