研究課題/領域番号 |
25800256
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志藤 あずさ 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (90376541)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海洋リソスフェア |
研究概要 |
フィリピン海の広帯域海底地震計記録をもちいてPo/So波の解析を行った。フィリピン海を年代の古い方から西部(> 45 Ma)、中部(~30 Ma)、東部(~15 Ma)と三つの地域にわけ、それぞれの地域を伝播するPo/So波を調べた結果、以下のことがわかった。 年代が古い西部ではPo/Soが1000 km以上高いS/Nを保って伝播する。若い東部でもPo/Soは250 kmまでは観測される。しかしながらその振幅は距離とともに急速に減衰し、500km以遠では観測されない。中部ではその中間程度である。つまり海洋リソスフェアの年代が古いほどPo/So波の伝播効率がよい。 フィリピン海で観測されたPo/So波の伝播効率の違い再現するために、地震波動伝播の差分法シミュレーションを行った。海洋リソスフェア中には層状小規模不均質構造を導入した。この特性は、相関距離がリソスフェアの長手方向に10km, それと直交する方向に0.5km、速度不均質の強さが±2%である。また、海洋リソスフェアの厚さは年代に依存し厚くなるとされているので、本研究においては80kmから20kmまで変化させた。その結果、海洋リソスフェアが薄くなるにつれPo/So波の距離減衰が急激に大きくなることがわかった。これは、海洋リソスフェアの厚さが薄くなることで、散乱の効果が十分ではなく地震波をリソスフェアの中に閉じ込めておくことができなくなるためであると考えられる。このことにより、フィリピン海で観測された年代による伝播効率の違いをリソスフェアの厚さによって定性的に説明できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関の異動により、当初予定していなかった業務が新たに生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の遅れを取り戻すべく今年度はエフォートを予定より上げて取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属機関の異動により、当初購入予定であった大型ファイルサーバシステムの導入が困難になったため。 購入予定であった大型ファイルサーバシステムの導入が困難になったため、現在の環境でも設置可能な小型の代替機種を購入する。 また、地方へ異動したため、会議等への主張旅費が当初の見込みより増えたので、上記理由により生じた物品費の余剰分を旅費に再配分する。
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