赤道太平洋の水温躍層における鉛直乱流混合は,表層から深層への熱輸送を通じて全球の気候に影響を与える重要な物理過程である。本研究では,この乱流混合に寄与する内部波の励起過程を,渦解像海洋大循環モデルを用いて調べた。その結果,約0.5 m/sの速度で西向きに伝播する波長約1000 kmの熱帯不安定波から下向きに内部波が放射されることを発見した。この内部波は,熱帯不安定波のフロント部で生じる水平流の収束域が,海面を動く障害物のように働くことで励起される風下波として説明可能であった。この内部波に伴うエネルギーフラックスは,赤道太平洋の水温躍層における乱流混合に重要な役割を果たしている可能性が示された。
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