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2016 年度 実施状況報告書

大気重力波の自発的な放射過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25800265
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

杉本 憲彦  慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (10402538)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード気象学 / 地球流体力学 / 大気重力波 / 自発的放射
研究実績の概要

1.f平面浅水系における様々な渦的流れからの重力波放射の理論的研究および数値実験
これまでの研究を継続し, f平面浅水系における様々な渦的流れからの自発的な重力波放射を調べた. これまでに構築した数値実験設定により, 様々な渦的流れを用いた重力波の定量的調査が可能である. 特に非対称な渦の併合過程から生じる重力波の系統的な実験を行った. 理論的研究では, キルヒホッフの楕円渦からの重力波の遠方場の解析解を導出し, 数値実験による検証を行った. 楕円渦の成果は原著論文として出版され, 渦の併合過程については現在投稿準備中である. またこの分野の総説論文を執筆し, 分担執筆の論文集の1章として出版された. さらに, これまでのこの領域の研究成果から, 「地球流体における渦からの自発的な重力波放射の研究」として, 日本流体力学会 2016年度学会賞(竜門賞)を受賞した.
2.3次元領域モデル, 3. 大気大循環モデルにおける渦的流れからの重力波放射の数値実験および理論的研究
3次元プリミティブ方程式系における傾圧波からの自発的重力波放射について, 領域モデル(dcpam), 全球モデル(AFES)を用いて調べた. ダイポールを用いたこれまでの研究により, ある解像度以上で重力波放射は解像できることが示唆されている. このため, より一般的な系へと拡張して, 様々なパラメータでの数値実験を行った. 現在、結果を解析中である.
この他, 金星大気についての波の研究も推進しており, 1編の原著論文が掲載された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基本的枠組みであるf平面浅水系において, キルヒホッフの楕円渦からの重力波の遠方場の解析解の導出と数値実験による検証の結果が原著論文として出版された. 特に, 渦糸対とは異なる設定のため, 数値実験での設定が簡単で, 数値モデルの検証に使いやすい点が重要である. さらに引き続く研究を実施中で, 非対称な渦対の併合過程の数値実験を行うなど, 新たな成果が得られつつある. また、3次元系へと拡張した数値実験も行い, 傾圧波からの自発的な重力波放射を統計的に調べる研究でも, 成果がまとまりつつある.

今後の研究の推進方策

浅水系においては, これまでに構築した数値実験の枠組みを用いて, 楕円渦の分裂過程や複数渦の併合過程など, 解析解を導出できない, さらに複雑な渦的流れからの自発的放射を系統的に調べていく計画である. 同時に, 3次元系では, 傾圧波からの自発的な重力波放射を様々な惑星パラメータへと変化させた数値実験を行い, 放射過程の理論的解析及び大気大循環へのインパクトを調査していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

参加を予定していたトルコの国際会議がクーデター未遂で中止になったため。投稿論文の査読審査に時間がかかったため。

次年度使用額の使用計画

国際学会への旅費と投稿論文の印刷費に使用予定である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 備考 (3件)

  • [国際共同研究] エコールポリテクニーク/エコールノルマルシュペリエール/パリ第6大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      エコールポリテクニーク/エコールノルマルシュペリエール/パリ第6大学
  • [国際共同研究] ケルン大学/ミュンヘン連邦大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ケルン大学/ミュンヘン連邦大学
  • [雑誌論文] Inertia-gravity wave radiation from the elliptical vortex in the f-plane shallow water system2017

    • 著者名/発表者名
      Norihiko Sugimoto
    • 雑誌名

      Fluid Dynamics Research

      巻: 49 ページ: 025508

    • DOI

      https://doi.org/10.1088/1873-7005/aa529e

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Nonlinear interaction between vortex and wave in rotating shallow water2017

    • 著者名/発表者名
      Norihiko Sugimoto
    • 雑誌名

      Vortex Structures in Fluid Dynamic Problems

      巻: - ページ: 33-52

    • DOI

      10.5772/65431

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 渦からの自発的な重力波放射とその反作用 -海洋のエネルギー収支の再考-2017

    • 著者名/発表者名
      杉本憲彦, Riwal Plougonven
    • 雑誌名

      月間海洋 総特集「海洋循環に果たすスケール間相互作用の理解 / 南北・上下から見た日本の気象と気候」

      巻: 49 ページ: 印刷中

    • 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Wave analysis in the atmosphere of Venus below 100-km altitude, simulated by LMD Venus GCM2016

    • 著者名/発表者名
      Sebastien Lebonnois, Norihiko Sugimoto, and Gabriella Gilli
    • 雑誌名

      Icarus

      巻: 278 ページ: 38-51

    • DOI

      http://doi.org/10.1016/j.icarus.2016.06.004

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 渦からの自発的な重力波放射とその反作用 ~海洋のエネルギー収支も念頭に~2016

    • 著者名/発表者名
      杉本憲彦, Riwal Plougonven
    • 学会等名
      2016 大槌シンポジウム
    • 発表場所
      浪板交流促進センター (岩手県上閉伊郡大槌町)
    • 年月日
      2016-11-05
  • [学会発表] AFESおよびLMD/GCMで再現された金星大気中の波の比較2016

    • 著者名/発表者名
      杉本憲彦, Sebastien Lebonnois, 高木征弘, 松田佳久
    • 学会等名
      日本気象学会2016年度秋季大会
    • 発表場所
      名古屋大学 (名古屋市)
    • 年月日
      2016-10-27
  • [学会発表] 自発的重力波放射とその反作用2016

    • 著者名/発表者名
      杉本憲彦, Riwal Plougonven
    • 学会等名
      日本気象学会2016年度秋季大会
    • 発表場所
      名古屋大学 (名古屋市)
    • 年月日
      2016-10-26
  • [学会発表] High-resolution numerical simulation of Venus atmosphere by AFES2016

    • 著者名/発表者名
      Norihiko Sugimoto, H. Kashimura, M. Takagi, H. Ando, T. Imamura, Y. Matsuda, W. Ohfuchi, T. Enomoto, Y.-O. Takahashi, and Y.-Y. Hayashi
    • 学会等名
      The joint 48th meeting of the Division for Planetary Sciences (DPS) and 11th European Planetary Science Congress (EPSC)
    • 発表場所
      Pasadena, CA, USA
    • 年月日
      2016-10-18
    • 国際学会
  • [学会発表] f 平面浅水系における渦の併合過程からの重力波放射2016

    • 著者名/発表者名
      杉本憲彦
    • 学会等名
      日本物理学会 2016年秋季大会
    • 発表場所
      金沢大学 (金沢市)
    • 年月日
      2016-09-13
  • [学会発表] Generation and impact of gravity waves from the dipole2016

    • 著者名/発表者名
      Norihiko Sugimoto and Riwal Plougonven
    • 学会等名
      2016 SPARC Gravity Wave Symposium
    • 発表場所
      Pennsylvania State University, State College, PA, USA
    • 年月日
      2016-05-17
    • 国際学会
  • [備考] 研究成果の公開WEBページ(個人)

    • URL

      http://user.keio.ac.jp/~nori/

  • [備考] 研究成果の公開WEBページ(法学部)

    • URL

      http://k-ris.keio.ac.jp/Profiles/171/0017018/profile.html

  • [備考] 研究成果の公開WEBページ(自然科学研究教育センター)

    • URL

      http://www.sci.keio.ac.jp/member/detail.php?eid=00014

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-22  

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