研究実績の概要 |
これまでの研究を継続し, f平面浅水系における様々な渦的流れを用いた重力波の定量的調査を行った. これまで, 渦的流れとして, 非対称な渦の併合過程を設定し, そこから生じる重力波の系統的な調査を行ってきたが, 今年度は自発的放射による反作用を見積もるため, 渦のエネルギーの減衰に着目した追実験を行った. 現在, この渦の併合過程についての研究成果を論文として, 投稿準備中である. また, これまでのこの研究領域の成果によって, 昨年度末に「地球流体における渦からの自発的な重力波放射の研究」として, 日本流体力学会 2016年度学会賞(竜門賞)を受賞した. 今年度は受賞記念解説を執筆し, 出版された. さらに, 3次元プリミティブ方程式系における傾圧波からの自発的重力波放射について, 領域モデル(dcpam), 全球モデル(AFES)を用いて調べた. これまで, ジェットを模擬したダイポール渦からの重力波放射の研究により, ある解像度以上で重力波放射は解像可能なことが示唆されている. このため, ジェット・フロントシステムを表現する, より一般的な系として, 傾圧不安定な基本場へと拡張して, 様々なパラメータでの数値実験を実施した. 現在、得られた結果の解析を行っており, 成果を論文として投稿準備中である. この他, 金星大気についても, 波の研究を推進しており, 極渦周辺の安定度における圏界面に捕捉された波の鉛直構造の論文, 金星大気データ同化システムの開発と熱潮汐波の構造を試験的に再現することに成功した論文, 金星AFES中の熱潮汐波の解析を行った論文, 計3編の原著論文が掲載された.
|