研究課題/領域番号 |
25800271
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中川 広務 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30463772)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 赤外ヘテロダイン分光 / 地上観測 / 火星 / メタン / ハワイ / 連続観測 |
研究概要 |
当初2013年11月を予定していた東北大60cm望遠鏡の移設完了が、稀少動物保護等の理由により2014年7月始動と計画が変更となった。それに伴い、初年度における惑星観測を断念せざるを得ない状況となったが、一方で、ハワイ移設後に予定していた「リモート制御化・自動制御化」のための準備も含め「連続運用」のための装置改良を実施した他、輸送作業および現地でのセットアップ作業は初年度中に完了させることができた。 具体には、観測波長を決定する局発レーザの交換をより簡便にできるよう光学配置を変更し、波長較正に必要なガスセルもこれまでの随時封入型から封じ切りタイプに切り替えて都度の封入作業を廃止、信号処理部も局発レーザケーブルに合わせ即座に取り替え可能にするための構成を配したことで、手動から自動・リモート制御化へ移行するための改良を施した。また、アンプレベルや信号確認のための電子回路切り替え部のPC制御化を達成し、レーザ駆動電流と温度についてもGPIB-USBケーブルを通してPC制御する準備を進めた。望遠鏡完成の遅延を受け、装置内でも観測対象のON/OFFが可能なようにスイッチング機構およびそのための光学配置を追加した。 加えて、1月までに輸出手続き及び梱包作業を済ませ、2月に装置を東北大学から搬出、3月ハレアカラ山麓にあるハワイ大学実験室に無事に移設を完了することができた。ハワイ大学実験室内で無事に装置のセットアップを済ませ、実験室外の天体追尾機を用いた太陽および月を光源にした試験観測により、予定どおりの波長安定度・感度・分解能を有していることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置自体の開発は予定どおりか、むしろ計画以上に進んでいるが、装置を実装する望遠鏡の建設が、ハワイ・ハレアカラ山における稀少動物保護等の理由により大幅に遅れてしまったため、完成に至らず、惑星観測を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
望遠鏡が2014年7月に始動予定で建設が進んでいる。完成次第、準備が完成している装置を山頂に輸送し、望遠鏡への実装を済ませ、火星メタン観測を開始する。望遠鏡完成までの期間、または万が一望遠鏡完成がこれ以上遅延する場合、ハワイ大学が所有する天体追尾機を用いて、山頂でなくても観測可能な太陽黒点観測や金星観測などを積極的に展開することで、火星以外での惑星観測においてもユニークな成果を挙げ、成果拡充を図る。もちろんそれらを用いたノイズレベルの検証などは、山頂における火星観測に重要である。
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