研究実績の概要 |
自ら開発した赤外レーザヘテロダイン分光器に7.7ミクロンの量子カスケードレーザを導入し, 火星メタンを観測可能なシステムに拡充した. データ検証のため実施した金星観測において, 金星夜面超高層大気における微弱なCO2吸収の検出に成功した. この試験観測データおよび放射伝達コードを用いて火星メタン検出に必要な積分時間を再検討した. 本成果は当該学術会議にて報告し、開発装置の概要をふせて専門雑誌に投稿・受理された.装置の安定稼働ならびにリモート制御システムの実現のため, データ集積モジュール, 広帯域デジタル分光器制御PCを新たに購入し, ヘテロダイン分光器に導入した. ハワイ観測施設にてシステム改善検討とそれに伴う試験観測を進めることができ, リモート制御可能なシステムの基礎が構築できた. 成層圏望遠鏡SOFIAを用いて火星メタン観測を3月16日, 24日に実施した. メタンを含む3ミクロン帯の広帯域データを取得することに成功し, メンタ検出のためのデータ解析を開始した. 2016年5月火星視直径最大時の地上観測連携のため, NASA/GSFCの同タイプ装置HIPWACメンバー, および欧州火星探査機Mars Express搭載フーリエ分光器PFSメンバーと継続的に議論を実施し, 観測計画を立案した. HIPWACチームはNASA望遠鏡IRTFに装置を搭載し, 大気-表層相互作用の解明に重要なCO2同位体の全球的な分布を観測, PFSは火星メタン観測を継続, 本課題によるメタンおよび水同位体観測と連携することとなった. 特に, 代表者も参加した昨年度観測で発見された予想以上のCO2同位体変動に着目した追試観測を実施予定である. 国際連携のため, MAVEN, そして本年末火星に到着予定のTGOに絡む会合それぞれに参加し, 本課題観測との連携体制を整えた.
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