研究課題
若手研究(B)
ガス惑星・氷惑星の深部大気・中心核など,流体層が系のスケールハイトよりも大きな場合を念頭においた回転球殻中の圧縮性流体の対流運動とこれに伴なうダイナモ作用を数値的に調べることを目的とする.回転球殻中の圧縮性磁気流体を解くための数値コードを開発し,系の圧縮性,電気伝導度,自転角速度,球殻の厚さ,熱境界条件を変えた数値実験を広いパラメータ空間上で行なうことで,回転球殻中の圧縮性流体の運動とダイナモ作用を地球流体力学的視点から系統立てて整理する.併せて,現在の観測結果と相補的な理論的な知見と,今後観測が発展しデータが増加するであろう系外惑星に関する基礎的知見の提供を目指す.平成25年度は,特定の状態方程式に依存しない形での非弾性磁気流体方程式系の定式化,および回転球殻磁気流体の数値モデルの開発を行なった.既存の非弾性方程式系の導出(e.g., Lantz and Fan, 1992; Anufriev et al., 2005)においては,1)状態方程式として理想気体を仮定する,2)基本場として参照する場が曖昧である,といった問題がある.これら仮定を整理し,1)特定の状態方程式に依存せず,2)基本場として静水圧平衡と断熱温度勾配を仮定することで,見通しよく非弾性系を導出できることを確認した.導出した方程式系に基づき,我々がこれまで開発してきた回転球殻ブシネスク磁気流体の数値モデルを非弾性系へと拡張し,Jones et al.(2011) に基づくベンチマーク実験を行なった.既報のベンチマーク実験よりも低解像度ながら得られた数値はベンチマーク実験の結果に誤差0.01%に収束している.
2: おおむね順調に進展している
平成 25 年度は,1)非弾性磁気流体方程式系の定式化,2)回転球殻非弾性磁気流体の数値モデルの構築,3)構築したモデルの高速化/並列化を予定していた.研究の遂行状況は,上記 1),2)が完了しており,結果は良好である.しかしながら,3)に関しては十分な並列化性能が出ていないため,平成26年度中も開発を継続する予定である.
研究期間内の目標は 1)回転球殻圧縮性磁気流体の数値モデルの構築,2) 磁場が無い場合の圧縮性回転球殻対流のパラメータサーベイ, 3) 圧縮性回転球殻磁気流体ダイナモのパラメータサーベイ,である.数値モデルの開発が当初よりも進んでいない(並列化状況が芳しくない)ため,計算機資源より多く必要とするパラメータ領域(低エクマン数,高レイリー数領域)のパラメータ実験は難しいものの,既存の研究で行なわれているようなパラメータ領域での数値実験は可能である.平成26年度は,モデルの高速化/並列化と合わせてパラメータ研究を遂行する.
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