研究課題/領域番号 |
25800275
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
深沢 圭一郎 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 助教 (50377868)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 宇宙プラズマ / 2流体プラズマ / 数値シミュレーション |
研究概要 |
陽解法による2流体プラズマシミュレーションモデルの開発を開始した。現在研究で利用しているMHDシミュレーションは、ブラソフ方程式から求まる2流体方程式の電子流体とイオン流体を同じ流体と近似することで求まるMHD方程式を解いている。そのため2流体プラズマの方程式系はMHD方程式と構造が似ており、陽解法による2流体プラズマシミュレーションを開発する場合、陽解法MHDシミュレーションコードが活用できる。現在研究で利用しているMHDシミュレーションを拡張して、2流体シミュレーションモデルの開発を行っている。現在1次元MHDシミュレーションコードから開発した2流体プラズマシミュレーションコードを利用し、3次元化を行っている。簡単なテストにおいて、非物理的振動が見られるため、方程式系を含め、見直し中である。 また、陽解法では光の速さで規定されてしまうため、現実的にはシミュレーション時間を進めることが難しい。そこで、陰解法を導入することにより時間発展を速く計算できないか調査した。3次元2流体プラズマシミュレーションでは陰解法がまだ利用されていないが、MHDシミュレーションやHall-MHDシミュレーションに適用された例があり、その調査を行った。その結果、数式的には問題が無いようだが、定常状態では無く、非定常状態を見る場合では、過渡的な現象が時間積分時になまる恐れがあると分かった。そのため、陰解法を導入する場合、時間ステップの取り扱いに注意する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
陽解法3次元2流体シミュレーションモデルの大枠は開発ができ、あとはシミュレーションパラメータの調整を残すだけとなっているため、研究計画に近いところまで実施できている。また、研究計画にある陰解法の調査は問題無く実施でき、来年度以降に開発する陰解法モデルへの注意点が明確になっている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、作成中の3次元モデルを完成させ、長時間ジョブを行い、その妥当性を検証する。このデータは保存しておき、次に開発する陰解法モデルでの計算結果と比較をし、モデルの妥当性を調査する。ここで陰解法の時間ステップの調整を行う。 陽解法を用いた2流体プラズマシミュレーションでは、計算時間の多さから現実的にはグローバル磁気圏構造を計算できないことが見積もられるため、陰解法による2流体プラズマシミュレーションの開発を始める。まず、1次元陰解法を開発する。古典的な陰解法では陽解法時に行っていた領域分割による並列計算が不可能なため、並列化に対応した陰解法を導入しなければならない。そこで近年開発され、実績を上げているJFNK(Jacobian-Free Newton Krylov)法(Knoll and Keyes, 2004)を導入する。この手法ではNewton Krylov法という反復法において毎ステップ計算が必要であったヤコビアンをテーラー展開で置き換えた手法であり、計算時間も抑えられ、並列化も可能である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度にデータ解析・データ保存用サーバを購入予定であったが、平成25年度内に長時間計算を行わなかったため、サーバの購入を見合わせた。 平成26年度においては早い段階で長時間計算を行う予定であり、年度前半において、データ解析・データ保存用サーバを導入する。
|