研究課題
最終年度(平成26年度)においては、当初計画していた極域における極中間圏雲(PMC)の観測が、初年度(平成25年度)に前倒しで実施することができたため、得られたデータの解析および科学的解釈を行った。具体的には、南極昭和基地において平成25年12月下旬から平成26年2月初旬の間に実施したライダー観測によって得られた極中間圏雲のエコーデータを、同基地で稼働中のMFレーダーのデータおよび衛星によるPMCイメージデータ等と比較し、昭和基地上空におけるPMCの消長がどのようなメカニズムに支配されているのかを考察した。その結果、昭和基地上空で検出されたPMCは、その場でローカルに形成されたものではなく、より低温である高緯度帯で形成されたものが、子午面風(南北風)によって赤道側へ輸送されてきたものであることを明らかにした。このようなPMCの消長に関する新たな知見は、初年度(平成25年度)で開発を完了した狭帯域受信系により、背景光による信号劣化を抑制した連続観測が実現されたことによって成立したものである。初年度に達成した狭帯域化システムの開発とその適用は、PMCの観測に限らず、昼間における各種ライダー観測の観測精度を高めるために適用できる技術であり、この有用性を極域における観測によって実証したことは意義がある。また、この狭帯域化システムによって実現したPMCの同一地点における連続モニタリングデータは、地球大気システムの長期変動をモニターするためのキーとなりえるPMCの消長が、背景大気パラメーターにどのように依存しているかを明らかにする上で重要な貢献をもたらした。
すべて 2014
すべて 学会発表 (5件)