研究課題
若手研究(B)
1. IODP第338次航海において、2012年10月~2012年11月にかけて南海トラフC0002地点の海底下860 m ~ 2000 mの間から10 mおきに採取されたカッティングス試料の観察・薄片作成を行った。またカッティングスの洗浄およびふるい分けを行い、径1 mm ~ 4 mmのカッティングス、および径4 mm以上のカッティングスを抽出した。カッティングスはさらに粗割を行ったあと重液分離を行い、ビトリナイトを抽出した。その結果、C0002地点の海底下1600m付近において多量のビトリナイトが含まれていることが判明した。また、カッティングスの中に炭酸塩鉱物脈を見出し、その微細組織の観察を行った。2.IODP第348次航海において、2013年11月~2014年1月にかけてC0002地点の海底下860 m ~ 3060 mの間から5 mおきに採取されたカッティングス試料の肉眼観察および岩相・変形構造記載を行った。その結果、掘削手法の差異を反映して、第348次航海で採取されたカッティングスのほうが鉛直方向の混在化が少なく、また掘削孔径拡充時に泥水中で砕屑粒子が集積して副次的に形成されるDrilling-induced cohesive aggregates (DICAs)の量も格段に少ないことが判明した。岩相は海底下約2500m以深で砂の量が少なくなり、粘土の量比が増すことが判明した。
3: やや遅れている
2012年度に行われたIODP第338次航海では、海底下3600 mまでの掘削が計画されていたものの、実際はトラブルにより2000 mまでしか掘削がなされなかった。その後、2013年度にIODP第348次航海が行われ、海底下3060 mまでの掘削・試料採取がなされた。得られた試料を慎重に解析したところ、第348次航海で得られたもののほうが試料の状態もよく鉛直方向の混合の度合いも低く、熱年代測定に適していることが判明した。これらの解析は第348次航海の終了を待たなければ行うことができず、そのために計画に若干の遅れが生じている。
ビトリナイト反射率測定はルーチンを確立したので、第348次航海で得られた試料を中心にデータを量産予定である。海底下約2500 m以深で砂の量比が減ることから、分析に十分な量のビトリナイトが得られない可能性があり、その場合には粘土鉱物のイライト結晶度分析から最高被熱温度を推定する予定である。
2013年度にIODP第348次航海が行われ、海底下3060 mまでの掘削・試料採取がなされた。得られた試料の解析から、第348次航海で得られた試料のほうが第338次航海で得られたものよりも熱年代測定に適していることが判明した。この解析は第348次航海の終了を待たなければ行うことができなかったため、計画に若干の遅れが生じ、次年度使用額が発生した。カッティングスのビトリナイト反射率分析のための消耗品購入費、および外部機関で分析を行う際の出張旅費として使用する予定である。
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