地球深部探査船「ちきゅう」による南海トラフの現時点での最深部の掘削孔の、海底下約3000 mまでの最高被熱温度、および砕屑性ジルコンのウラン-鉛年代を約50-100 m間隔で測定した。これは現世沈み込み帯における世界初のデータセットであり、南海付加体と分岐断層の発達過程解明に重要な制約を与えるものである。結果、分岐断層上盤に、過去の分岐断層と推定される、被熱温度および年代逆転をもたらす逆断層帯の存在が明らかになり、また、南海付加体上部では200万年以後の熊野海盆の形成に伴う沈降を反映して、断層上盤での大規模な物質の上昇は起こっていないことが明らかになった。
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