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2014 年度 実施状況報告書

微生物岩の生物起源性を示す新規指標の確立

研究課題

研究課題/領域番号 25800280
研究機関広島大学

研究代表者

白石 史人  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30626908)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード微生物堆積物
研究実績の概要

本年度は,昨年度に確立された微生物学的手法を用い,下位田トゥファ・上野トゥファ・木部谷温泉・入之波温泉・長湯温泉などにおいて,微生物堆積物の形成過程について検討を行った.まず微小電極の測定により,これらの堆積物形成に重要な微生物代謝が酸素発生型光合成であることが示された.また,共焦点レーザー走査顕微鏡などによる観察から,一般的に低流速環境では堆積物表面において酸性細胞外高分子を伴う光合成細菌が優勢であり,それらが結晶核となって細粒の炭酸塩堆積物が形成されていることが明らかとなった.一方,高流速環境ではそのような光合成細菌はほとんど存在せず,堆積物も粗粒であった.遺伝子解析の結果からは,高流速環境において微生物群集の多様性が低下する傾向が見られ,細胞外高分子の表面電荷が底質への菌体定着性を制御していることが示唆された.CARD-FISH法による検討では,硫酸濃度の高い長湯温泉において硫酸還元細菌が確認されたものの,堆積組織に与える影響は僅少と評価された.同様の検討は,オンネトー湯の滝および三瓶温泉についても行った.また,放射光を用いた局所分析法(μ-XAFS)について,団塊試料を用いた予察的検討を実施した.その結果,微生物起源の鉱物が特徴的な酸化数を持つことが明らかとなった.地質時代の試料については,例外的に保存のよいブラジル産ストロマトライトについて堆積組織・微化石・元素分布の記載を行い,微生物の痕跡を探索した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

野外調査は予定していた調査地に加え,2か所を追加的に調査することができ,予想以上の進捗があった.微生物堆積物の局所化学分析についても,おおむね良好な結果が得られている.

今後の研究の推進方策

基本的には当初の計画通りに実施するが,当初予定していなかった試料をいくつか追加したことから,期間内に検討を終えられるよう留意する.

次年度使用額が生じた理由

今年度は野外調査及び試料採集を重点的に行ったため,室内実験が少し後ろ倒しになったため,次年度使用額が生じた.

次年度使用額の使用計画

来年度は,次年度使用額を予定していた室内実験に充てる予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 超貧栄養海域のマンガン団塊表面に密集する微生物群集2015

    • 著者名/発表者名
      白石史人,光延聖,諸野祐樹,鈴木勝彦,稲垣史生
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2015年大会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2015-05-26
  • [学会発表] 温泉成マンガン沈殿物形成における微生物の役割2015

    • 著者名/発表者名
      白石史人,千原亮二
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2015年大会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2015-05-26
  • [学会発表] 鉄微小電極測定法の確立とBIF類似沈殿物への適用2015

    • 著者名/発表者名
      中尾鴻兵,白石史人
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2015年大会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2015-05-26
  • [学会発表] 全球凍結後に見られるリン酸塩ストロマトライトの成因2014

    • 著者名/発表者名
      白石史人,奥村知世,高島千鶴,狩野彰宏
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2014年大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-04-30
  • [図書] 地球のしくみを理解する‐広島大学理学部地球惑星システム学科へようこそ‐2015

    • 著者名/発表者名
      広島大学理学部地球惑星システム学科
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      広島大学出版会

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公開日: 2016-06-01  

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