研究課題
本研究は、秋田県男鹿半島に位置する一ノ目潟年縞堆積物を対象として、年縞計数によるコアの時間軸(編年)を高精度に構築したうえで、高時間分解能な地球化学分析を通じて、東北日本における過去約3万年間のアジアモンスーン変動を精緻に復元することを目的として、短時間で発生する急激な気候変動時の地域的な分布パターンを議論することである。この目的を遂行するために、1.一ノ目潟堆積物の年縞計数等による高精度編年の構築、2.堆積物試料のCN分析の2つの柱で研究を実施してきた。1.については、水月湖年縞堆積物の編年方式を援用して、晩氷期以降についての編年を確立することができた。その際、イベント地層の取り扱いについても詳細検討することができた。2.については、903試料の測定結果に対する統計解析および考察をおこなうことができた。また、花粉分析等の他の古気候プロクシデータとの対比もおこなった。その結果、晩氷期のアジアモンスーン変動には、グリーンランドで認められるヤンガードリアスと呼ばれる一時的な寒の戻りに対応する急激な環境変化を、南極氷床コアと同様に一ノ目潟でも確認できないことが明らかになった。これは、日本列島周辺の気候変動が北大西洋のそれとは異なる要因で生じていることを示唆している。最終年度にあたる平成27年度は、上述の研究内容を中心に公表することができ国際誌に5編、学会発表を15回おこなうことができている。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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