中生代中期の炭素循環の記録は,これまで古太平洋海域から示されてこなかった.そこで本研究では,同時期の古太平洋地域の石灰岩(日本の鳥巣式石灰岩)に注目し,体系的な炭素同位体比の記録を示した.その結果,古太平洋海域の炭素同位体比の記録はテチス海と地域間対比が可能であることが判明した.両海域の炭素同位体比はジュラ紀後期に収束していくことから,大陸移動に関連した海洋循環の変動が想定される. また本研究では,この時期の石灰岩から産出する厚歯二枚貝という特殊な二枚貝の研究も行った.本研究の結果,原始的な巻貝型厚歯二枚貝は波浪の及ばない静穏な環境に生息していたことが判明した.
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