| 研究実績の概要 |
地球は中心部から核・マントル・地殻で構成されていることが地震学的な観測から明らかになっている。さらに地球の核は周囲を覆う液体の外核と最中心にある固体である内核からなることが知られており、重要な物理的性質である音速-密度分布も調べられている。また、地球物理・化学的な見地から地球核は主に鉄からできており、そこにニッケルや軽元素（水素、炭素、酸素、硫黄、珪素など）が含まれていると考えられている。そこで本研究では、地球核の組成を決定すべく、地球核を構成している候補である鉄-ニッケル、鉄-軽元素合金の音速-密度測定を地球核条件下で行うことを目的としている。
兵庫県にある大型放射光施設SPring-8にあるビームラインBL35XUにおいて鉄-ニッケル、鉄-炭素、鉄-珪素合金の音速を非弾性X線散乱法によって～150 GPa、～3000 Kの圧力温度条件下まで測定した。また、X線回折法により同条件下での密度測定も行うことで、各鉄合金における[音速, 密度, 圧力, 温度]データを取得し、純鉄及び地球核のデータと比較することが可能となった。「純鉄＋鉄合金＝地球核」になるはずであるので、得られたデータを組み合わせることによって、地球核の組成に制約を与えることが期待される。
また、純鉄の音速に関しては、世界的に類を見ない超高温高圧条件下（～170 GPa、～3000 K）での測定に成功しており、国際誌に投稿中である。現在測定中の鉄合金の音速に関する研究においても随時投稿予定である。
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