天体衝突時の圧力や温度、保持時間を理解することで、隕石が受けた衝撃変成作用の詳細を把握することが可能となり、さらにこれらは太陽系形成や生命誕生を紐解く重要な鍵となる。従来の手法では、各パラメーターを定量的に評価することは困難であったものの、本研究から月や火星隕石を構成する長石のカソードルミネッセンス特性と圧力とに密接な関係性を見出すことができ、高圧実験により得られた長石の青色発光と圧力との検量線を用いて、天体衝突時の衝撃圧力と圧力保持時間を推定するに至った。さらに、月や火星隕石の衝撃圧力を系統的に評価することに成功し、月や火星表面で生じた天体衝突過程の全容が明らかとなった。
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