研究課題/領域番号 |
25800295
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 友子 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80553106)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | X線位相イメージング / ビジビリティコントラスト |
研究概要 |
本研究の目的は、本研究は、X 線位相イメージング法を岩石試料に適用し、岩石の融解現象の高温下その場・三次元・時間分解観察を可能にすることで、部分溶融したメルトの挙動を明らかにすることである。その第一段階として、本年度は、天然岩石についてのX線位相CT撮像を様々な条件で実施した。具体的には、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設 Photon Factory(PF)における、約30keVを中心としたエネルギースペクトルを持つ白色X線、および、18keV ~30keVまでのいくつかのエネルギーに単色化したX線を用いた撮像、また、東北大学多元物質科学研究所における浜松ホトニクス・マイクロフォーカスX線源を用いた拡大投影配置での撮像を実施した。空間分解能の点で有利な縞走査法を用いて、吸収像・位相シフト像・ビジビリティコントラスト像のX線CT撮影を行った。吸収像と位相像にはコントラストの逆転している部位が見られた。天然岩石の構成鉱物の一つである正長石が吸収係数の大きいKを含む比較的密度の低い鉱物であるため、周囲の鉱物と比べた際に吸収係数と位相シフトが逆転していることを反映しているものと考えられる。また、ビジビリティコントラスト像にも明瞭なシグナルが見られ、粒界の構造を反映しているものと考えられる。さらに、本測定により、エッジにおける位相像のボケおよびビジビリティコントラスト像の強いシグナルは、解像できないスケールの位相の大きな段差が存在することによって生じていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施された天然岩石試料測定の目的は、X線位相イメージングを岩石試料に適用するに当たっての最適な条件を見出すことであった。今回様々な条件で撮像を実施することで、岩石試料については、白色X線による撮像でも、解像度や吸収・位相・ビジビリティコントラストを著しく大きく損なうわけではないということが明らかになった。特に、ビジビリティコントラスト像が粒界の構造をよく反映していることは、岩石の融解や破壊等を検出する上で非常に有用と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果を踏まえ、今後、高温下におけるその場測定を推進していく。現在、加熱装置は当初のジュール加熱からハロゲンヒータを用いた輻射による加熱に変更して設計中である。加熱装置の設計・オフラインにおける加熱テストと並行して、天然の岩石あるいは合成鉱物の焼結体を一部溶融させた試料の撮像を行って、本研究課題の目的により最適化された撮像条件の探索も実施していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
加熱装置の設計に際し、当初計画していた方式のテストを実施した結果、計画とは違う方式の加熱方法を採用すべきとの結論に至り、購入すべき新しい機器の選定に時間がかかっているため。 次年度中には設計・発注・納品とも完了の予定である。
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