研究課題
本研究の目的は、X線位相イメージング法を岩石試料に適用し、岩石の融解現象の高温下その場・三次元時間分解観察を可能にすることで、部分溶融したメルトの挙動を明らかにすることである。今年度は、主に、天然岩石の溶融実験と、ハロゲンヒータを用いた輻射による加熱装置の設計を行った。ハロゲンヒーターを四方から照射する配置で天然岩石を加熱することで、天然岩石中の融点の低い鉱物から溶融させた。当初検討していたヒーター材と断熱材を兼ねるカーボンを岩石の周囲に配置させる必要は必ずしもないことが確認され、カーボンのない配置での加熱の検討も行った。本研究で対象とする岩石は主に酸化物であるため、カーボンが不要であれば空気雰囲気での加熱でも大きな問題はなく、カーボンからの散乱がなくなるだけでなく、不活性ガス雰囲気チャンバーも不要となるため装置が簡素化できるメリットがある。一方、岩石の種類によっては不活性ガス雰囲気が必要となることを考えて、不活性ガス雰囲気チャンバーを用いる場合の配置などについても検討を行った。また、密閉容器中の試料についての小角散乱観察を実施した結果、結晶質の試料から結晶の粒界方向と関連すると考えられる方向性のある強い小角散乱が観察されることを確認した。高圧下その場小角散乱測定への応用について、加圧軸方向から観察する配置だけでなく、斜め配置や加圧軸に垂直方向からのX線観察についても検討を行った。
3: やや遅れている
加熱装置の作成にやや時間がかかっているため。
加熱装置の制作を進め、天然の岩石あるいは鉱物の焼結体を部分溶融させた試料の測定を実施して、ビジビリティコントラスト像から部分溶融メルトの存在形態を明らかにする。
年度途中で休業となったため。
加熱装置の作成に使用する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
J. Phys. Chem. B
巻: 119 ページ: 8146-8153
10.1021/acs.jpcb.5b03476