研究課題
本研究の目的は、X 線位相イメージング法を岩石試料に適用し、岩石の融解現象の高温下その場・三次元・時間分解観察を可能にすることで、部分溶融したメルトの挙動を明らかにすることである。現在までに、X線Talbot干渉計を用いた岩石試料の縞走査法によるX線CT測定から得られるX線吸収像・位相シフト像・ビジビリティコントラスト像のうち、特にビジビリティコントラスト(小角散乱コントラスト)像について、粒界の構造を反映する明瞭なシグナルが見られることが分かっている。小角散乱コントラストは、解像できないスケールの位相の大きな段差やランダムな微小構造によって生じることが明らかにされている。しかし、岩石試料に関しての小角散乱コントラスト像が実際何に由来するかはあまり明確にはなっていない。そこで本年度は、小角散乱コントラストに関する理解を深め、コントラストが岩石試料に生じる条件等について調べることを目的に、主に密閉容器中の様々な試料について小角散乱測定を実施した。その結果、結晶や非晶質物質の表面からもその形状に由来すると考えられる強い散乱が観察されることや、液体の固化に伴い、固化した結晶の粒界あるいは表面由来と考えられる散乱が新しく観察されるようになること、結晶が非晶質化するような相転移に伴ってその構造を反映した散乱が見られることなどが分かった。このことから、たとえ粒界に隙間がなくても強い小角散乱コントラストが生じるであろうことが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
小角散乱コントラストによる岩石の融解現象の三次元観察の実現可能性が示唆された。
天然岩石を部分溶融させた試料の測定を実施して、小角散乱コントラスト像から部分溶融メルトの存在形態を明らかにする。
年度の3/4を休業したため
加熱装置の作成・実験のための出張費などに使用する
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Applied Physics
巻: 120 ページ: 035901
10.1063/1.4958796