研究概要 |
本課題は、超高精度のNd安定同位体分析法によって地球物質・月試料・コンドライト隕石の系統的な分析を行い、各天体間におけるNd安定同位体分別の程度を定量的に評価する事を目的とする。 本年度は、1. 超高精度のNd安定同位体分析法の開発、および、2. 開発された手法による地球物質のNd安定同位体組成サーベイの開始、3. 月および隕石試料の選定と入手、を行う予定であった。 1. については、研究代表者等が過去に開発したダブルスパイクTIMS法によるNd安定同位体分析法の超高精度化改良を行った。複数同位体同時検出法とピークジャンピング法を組み合わせた手法により、TIMSを用いてNdの同位体比(iNd/144Nd, i = 142, 143, 145, 148, 150)を超高精度(< 10ppm)で分析する事が可能となった。これは、過去の申請者の手法と比較すると、各同位体比について2~8倍程度、分析精度が向上した事を意味する。また同時に、Ndよりも同位体数が少なく単純な系であるSrを用いて、ダブルスパイク法の超高精度化が問題なく行えるかを実証した。 3. については、他研究者からの譲渡および販売業者からの隕石試料購入を行った。これにより、研究代表者がすでに所持していた試料を加えて、コンドライト隕石・エコンドライト隕石・月隕石が、それぞれ19・11・1種類となり、隕石母天体の系統的な分析を行うために十分な種類の試料を準備した。
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